2011年05月31日

プラセボ効果の脳内機構

プラセボ効果について調べました。
プラセボ効果の発現機構として内因性オピオイドに由来するもの、ドパミン作動系報酬報酬機構とあるようです。
特にドパミン活性を促すには<期待>をさせることがkeyになるようです。

理学療法も治療の1つであるなら、同様の効果を期待できます。
内因性オピオイドとドパミン活性を促してみてはいかがでしょうか。


興味があれば下記または引用している文献をご覧ください。
文献では、高次脳機能障害を特集しており、また図も多く用いられています。


プラセボ効果の脳内機構について教えてください
中島雅士 Modern Physician Vol.30 No.1 2010.1 P208-210

基礎知識
あらゆる種類の「治療」効果には2つの側面がある。1つは「治療」そのものに特有の効果(たとえばある薬の薬理学的作用)であり、1つは患者が治療を受けているそのものに由来する効果である。Wolf(1959)はこの後者をプラセボ効果(placebo effect)と定義している。
ランダム化二重盲検プラセボ・対照試験(randomized double-blind placebo-controlled trial : RCT)は、このプラセボ効果を制御するようにデザインされたものであるが、ここではプラセボ群の転帰そのものが「プラセボ効果」または「プラセボ反応(placebo response)」とされることがある。しかし、プラセボ群の転帰に対しては疾患の自然経過や数学的な平均への回帰も大きく影響する
心理学ではプラセボ効果を、「臨床的改善を期待または予期する心理現象」(Kirsch 1999)とみなしてきたが、この心理現象の脳内機構として、内因性オピオイドとドパミン作動性報酬機構の役割が注目されている。

痛み、抑うつ、およびパーキンソン病の3疾患では、数多くのRCTにおいて著明なプラセボ効果が繰り返し報告されている。この3疾患の病態機序に関係する神経ペプチドまたはニュートランスミッターを介して、プラセボ効果の脳内機構が研究されてきた。

プラセボによる鎮痛効果と内因性オピオイド
プラセボ効果の生科学的根拠をはじめて示したものは、オピオイド拮抗薬naloxoneによるプラセボ鎮痛効果(placebo analgesia)の阻害である。これはプラセボが内因性オピオイドの放出を誘導することによる鎮痛をもたらすことを示唆している。
PETによっても、プラセボ鎮痛効果は、外因性オピオイド投与による鎮痛時の変化と相似して、吻側前部帯状回皮質から下位脳幹に至る下降性鎮痛修飾回路の血流増加を伴うことが観察された。

ドパミン作動性報酬機構
Benedettiらは、このようなプラセボ効果をもたらす心理的社会的背景を意識領域と無意識領域に大別し、前者では臨床的改善への期待または予期が、後者では古典的な条件付け(Pavlov)が重要な役割をもつと考えた。前述のプラセボによる鎮痛効果をあげるためには、患者に鎮痛への期待を持たせることが決定的に重要である。この「将来起こりうることを期待する」脳内機構の1つとして、ドパミン作動性報酬機構が注目されている。
動物実験では、中脳腹側被蓋野(ventral tegmental area : VTA)からのドパミン投射を受ける側坐核(腹側線条体)のドパミン活性が、予期させる報酬の量とその隔たりに対して反応することから、この経路が報酬に対する行動の調節系であると考えられている。

ドパミン作動系報酬機構とプラセボ効果
de la Fuente-Fernandezらは、PETを用いて、パーキンソン病患者のプラセボ効果発現時に黒質からの投射を受ける背側線条体でのドパミン放出が増強することを示し、その後、側坐核においてもこのドパミン活性の上昇を認めた。プラセボ投与後の側坐核ドパミン活性増強はうつ病患者にも認められ、さらに健常者においても、プラセボ鎮痛の期待および効果と、側坐核ドパミン活性の間に正の相関が示された。この結果は、内因性オピオイドを媒介化学物質とするプラセボ鎮痛においても、ドパミン作動性報酬システムが関与することを示唆している。ドパミン投射を受けるいくつかの皮質・皮質下領域において、慢性疼痛が内因性オピオイド放出を誘導することも、ドパミン系とオピオイド系の関連を示唆している。

プラセボ効果の発現機序仮説
意識領域の、すなわち「期待」を介するプラセボ効果は、感情と情動を随意的に制御する脳内機構(回路)を介して発現している可能性がある。吻側帯状回皮質を含むいくつかの前頭葉領域は、否定的感情(negative affect)が抑圧されているときに活動し、一部を除く同領域は外因性オピオイド投与によっても活性化する。またその前頭葉領域の一部(背外側および腹側前頭前野と吻側帯状回)は、嫌悪を催す視覚刺激を、プラセボによって肯定的に再解釈する課題でも活性化され、これに相関して扁答体活動は減少していた。外側および腹側前頭前野は、認識された課題の遂行(たとえば作業記憶 working memory)を制御する脳内機構(回路)を形成すると考えられており、この回路が「期待」に対する遂行としてプラセボ効果を発現している可能性がある。もう一つの可能性は、同じ回路による、現在の、および予期させる事象に意味を持たせる過程である。有効なプラセボ鎮痛が痛みの意味を能動的に再評価することであれば、眼窩前頭野と外側前頭前野系の両者は、痛みの知覚と情動に偏倚を与えている可能性がある。

引用:Modern Physician Vol.30 No.1 2010.1 P208-210


posted by しば.net at 15:17| 埼玉 ☀| Comment(0) | 理学療法 一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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